コラム No.4:「遺産分割協議書」

相続が発生した時に必要でありながら、その必要性が認識されていないもののひとつに「遺産分割協議書」があります。

これは、残された遺族がどの財産をどのような割合で受け継ぐのかを文書にしたもので、例外を除き必ず必要になるとお考えください。

この書類がないと、故人の銀行口座からの預金引き出しや不動産の登記変更などができなくなりますので、相続発生後、速やかに行う必要のある作業となります。

遺産分割協議書には相続人全員の署名押印が必要となり、印鑑証明書の添付が必須となります。我々のような海外在住者は大使館、領事館が証明してくれるサイン証明が印鑑証明書の代わりとなります。

尚、この協議書が必要でない例外のケースですが、下記のような場合は遺産分割協議書が不要となります。

1.法的に認められる要件を満たした遺言書が存在し、その中でどの財産を誰に遺すかが明確になっている場合。つまり、遺言書で記載されている内容と同じことを遺産分割協議書でなぞるだけでは、あえて作成する意味がありませんので、この場合は不要となります。

2.法定相続人が一人の場合。配偶者の方だけ、配偶者の方がなくお子様がお一人の場合など、そもそも分割する相手がいない場合は不要となります。

3.法定相続割合で分割する場合。日本の民法では、法定相続割合というのが決まっています。この割合で分割する場合は、必ずしも協議書が必要ではないこともあります。

この協議書の作成方法ですが、最近はインターネットで書式をダウンロードすることもでき、専門家に依頼せずとも作成が可能な時代となってきましたが、書類に不備がある場合など、後々面倒になることもあります。遺産分割協議書は弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に依頼するのが確実でしょう。