コラム No.2:「法定相続人」

ご両親などご家族の方が亡くなると相続人の方が遺産を引き継ぐわけですが、法律上、相続人になれる親族というのはあらかじめ決められています。この相続人になれる親族を民法上「法定相続人」と呼びます。

この法定相続人には法定相続割合といって、どの相続人がいくら故人の財産を相続できるかも民法上で予め定められています。(法定相続割合は、故人との関係で相続割合が民法で決まっていることを言います。例を挙げると配偶者は1/2, 子供が一人であれば1/2, 二人であれば1/4, 三人であれば1/6といったところです。)

ただし、実際の相続では、この法定相続割合に縛られる必要はなく、法定相続人全員の話し合いで相続の割合を変えることもできますし、故人の意思で法定相続人でない方に相続をさせることも可能です。

では、法定相続人とその割合にどんな意味があるの?と思われるでしょう。

これには、大きくふたつの意味合いがあり、その一つ目は相続税の税額を決定するためと、法定相続人に最低限の権利を保障するための防波堤の役割、この二つが大きな役割となっています。

これだけでは煙にまかれた気分になるでしょうから、説明を加えますね。

相続税の計算を行うには、遺産総額から基礎控除を差し引いたものに税額を掛けたものが相続税となることは以前のコラムでもお伝えしたので、覚えている方もいらっしゃると思います。(控除とはつまり、その金額までの資産額であれば相続税はゼロですよ。というものです。)

この基礎控除の金額を計算するのに、法定相続人の人数が必要になるのです。

具体的には、相続財産から差し引かれる基礎控除は平成28年現在、3,000万円+(600万円 x 法定相続人の人数)となっています。

つまり、実際に誰がいくら相続するかは関係なく、基礎控除の金額算定には法律上の相続人である法定相続人の人数だけが算出根拠となるのです。

さて、二つ目の最低限の権利を保障する防波堤の話しですが、こちらは次回のコラムでお届けします。遺言書で一円も残さないと故人が指示をしても、法定相続人であれば遺産を受け取る事を可能にする法律のお話しです。お楽しみに!