相続に詳しい会計事務所によると、相続発生時に遺言書が残されているケースは1割にも満たないとのことです。しかし、遺言書はとても重要です。これがないと、ご遺族の間で、財産の分け方に関して問題が生じてしまう可能性があります。
よくあるケースは、「お父さんはこう言っていた。。。」、「お母さんは私に約束してくれた。。。」と口約束しか残されていない場合です。
親御さんは子供みんなが可愛いもの。残された時間が少なければ少ないほど、子供にいい顔をしたくなるのは人情というものです。
そして、みんなにいい顔をした結果、亡くなったあとに兄弟間で大揉めに揉めることになるのです。
このような事態を避けるためには、亡くなる前にしっかりとご遺志を文書で遺すことが肝要です。
ところが、法的に遺言書として認められるには、一定の決まりに沿ったものでなくてはなりません。こちらで、その形式をご紹介致しましょう。
1. 自筆証言遺言書
これは、一番簡単な遺言書の形式です。PCや代筆は許されず、自筆である必要はありますが、証人が不要で保管も自分でできることから、最も簡単に作成できるものです。遺言書の存在、内容を秘密にすることもできます。ただし、ご本人が亡くなったあと、ご家族は遺言書の検認(遺言書が法で認められる形式となっているか)を家庭裁判所で受ける必要があります。
2. 公正証書遺言:
公証人に作成してもらうことと証人二人が必要になるなど、作成時はかなり面倒なことはありますが、遺言書の存在、内容を秘密にできないので、遺族の揉め事を防ぐことを目的と考えるのであれば、公正証書遺言がベストと言えます。亡くなったあとの、家庭裁判所の検認は不要です。
3. 秘密証書遺言:
自筆で作成しますが、PCや代筆も可能となります。ただし、証人が二人必要となり、作成後に公証役場に保管を依頼する手間がかかります。遺言書の存在は秘密にできませんが、内容は秘匿することができます。ご本人が亡くなったあとに、家庭裁判所の検認が必要です。このように、証人を用意して公証役場まで捲き込みながら、最終的に家庭裁判所の検認が必要になるなど、一番手間がかかる遺言書と言えます。
このように、一口に「遺言書」と言ってもいろいろ種類がありますので、ご自分の状況を考えてうまく選択すると良いでしょう。