親御さんが亡くなってから子供の世代に資産が引き継がれる「相続」と違い「生前贈与」は親御さんがご存命の間に、「誰に」「何を」「いくら」といった配分を自由にできるのが最大の魅力です。その分、税率が相続税と比較して贈与税が高くついてしまうのが難点ですが、それを補う税制上のメリットが生前贈与にはあるのです。今回はいくつか代表的な例をご紹介しましょう。
1. 住宅取得等資金の贈与の特例:
これは、直系親族である両親や祖父母から、自分が居住する目的で新築または増改築した費用の一部が非課税となるものです。消費税が10%になった場合は最大3,000万円というかなり大型の特例になるところでしたが、安倍政権の消費増税延期の方針もあり、現在は最高で1,200万円が非課税となっています。
2. 配偶者への居住用不動産の贈与の特例:
これは、結婚して20年を超える夫婦に与えられる特例で、配偶者に対して贈与された不動産、もしくは不動産購入資金を最大2,000万円まで非課税とする特例です。
婚姻期間が20年を超えて初めて適用となる税制のため、「おしどり贈与」とも言われています。
3. 教育資金の一括贈与:
これは、両親から子供だけでなく、祖父母から孫への贈与も1,500万円を上限に非課税となる制度です。贈与を受ける側が30歳までと年齢制限があったり、平成31年3月31日までの時限立法であること、更に、信託銀行などの金融機関を通してでないと利用できないなどの使い勝手の悪さはありますが、孫が3人いれば1,500万x3が非課税になることや、健康に不安がある祖父母の方が今のうちに打てる対策であることなどを考えると魅力的な制度であることは間違いないようです。
このように、生前贈与をうまく利用して、次世代への資産移転を検討してみてはいかがでしょうか。